スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ページをめくる指』

金井美恵子『ページをめくる指』(河出書房新社)を読んだ。絵本好きの文学者の丁寧な言葉と分析で書かれた絵本論。絵本論は、多くの場合、子どもの視点を交えて論じられる。そのことに異を唱えるつもりはないが、この著作は、もっぱら刺激的な「金井美恵子」の読みに貫かれているところが魅力的である。

ポターの絵本の魅力を「おはなしの内容と、描かれた動物たちの表情や仕草が、このうえない自然さで一体化している」(p88)と金井は述べる。そして、それはポターの描く小動物の身振りや動き、姿、仕草を「好奇心と細心さとやさしいユーモアとで見つめ、自分の観察力と描写力の伎倆に対する喜びに充ちたつつましい自負を通して」(p91)おはなしが生まれたからだと。さらに金井は、ことによったらポターは自分のまわりにいるネズミやウサギやネコたちから「おはなし」をきいたのかもしれないと、さりげなく書き加える。つまりポターの物語は、動物たちの自画像でもあるらしい。

饒舌で奔放な語り口で(長い!)自分の好きな絵本を論じる金井美恵子のラインアップは、ポピュラーなものがほとんどで、『母の友』に連載されたことを考えると当然という気もするが、なかにはちょっとめずらしい絵本も紹介されている。また、ほとんどの人が絶賛する『ちいさいおうち』『せいめいのれきし』に対する違和を述べるあたりは、遠慮しながらも、作家への批評眼がきらりと光っている。

「絵本は何度も読みかえす」と帯に書かれているが、私は、この著作をこれから何回も読み返すことになるだろうという予感がする。

コメントの投稿

非公開コメント

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

月別アーカイブ

最近のコメント

プロフィール

わしこ

  • Author:わしこ
  • 無断転載ご遠慮ください。
FC2カウンター
最近の記事
カテゴリー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。