わしこの読書日記

子どもの本や絵本について研究しているわしこの読書日記と身辺雑記。

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絵本『Wolves』

あすかさんのブログで紹介されていた Wolves がアマゾンより届いた。何とも不思議で、斬新な絵本。絵本の中にさらに同じ絵本が出現し(著者名だけがちょっと違う)、物語が展開されてゆく。

Masrer G Rabbit 氏が図書館から借りだした本はWolves であった。その時点で、読者である私たちは、ラビット氏が借り出した「絵本の中の絵本」に入ってゆくことになる。「おおかみ」についての絵本に熱中しているラビット氏は、そうとは知らず、おおかみの太い足元を通り、尻尾をのぼり、気がついたときには、、、。ラビット氏が読んでいた Wolves の赤い表紙は、おおかみの鋭いかぎ爪のようなものでひっかいた跡がある。ということは、、、。

そしてつぎのページには、いままでの物語を覆すような作者からのメッセージと、もう一つの結末が提示される。ここには明快なメタ・フィクション性がうかがえる。

しかし、最後の最後で、読者はまた混乱させられることになる。ラビット氏の家には、図書館より「図書返却のお願いと遅延金のお知らせ」が届いているのである(封筒と手紙は本物が使われている)。ラビット氏はどうしたのか? 絵本は? 私たちに結末を迫る「オープン・エンド」の結末をむかえる。

細かな部分も工夫が施され(たとえば、図書館からの手紙にある図書館長のサインは、まるでウサギのよう)、絵本のメディアを十分に意識して作られた、おしゃれで斬新な絵本。

さっそく授業で紹介したが、学生にもとても好評だった。 
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*Comment

絵本『Wolves』 

わしこさま:
コメント、TB、どうもありがとうございました。
うさぎさんのその後を想像させられるオープン・エンドは広がりがあり、いつの間にか自分もお話の中に身を置いているという感じです。
作者は17歳で学校を中退し、放浪の旅を続けたという、かなりユニークな人生経験を持つ人だそう。
このデビュー作は明らかにセンセーションを巻き起こしたと思いますし、アーティストには破天荒な生き方が必要なのかなとも。
いずれにしても、喜んでいただけてとてもうれしく思います。
  • posted by asukab 
  • URL 
  • 2005.12/03 12:50分 
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