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「うまい!」

本を読んで「面白かった!」と感じることはたびたびあるが、「うまい!」と膝を叩くことはめったにない。ミステリだって嫌いじゃないし、東野圭吾などは「面白い」とは思うものの、今まで「うまい」とは感じたことはない。トリックや伏線が複雑に絡み合い、細部にまで緻密に計算された物語を読まされている感があって、読者の側の謎解きや推測など最初から許されないと感じながら読むからだろうか。

久しぶりに「うまい」と思わず呻ってしまった作品にであった。門井慶喜の『おさがしの本は』(光文社文庫)である。ビブリオ・ミステリに分類されるらしい。

舞台は、N市立図書館のレファレンス・カウンターである。図書館などとは縁もなさそうな短大生が「シンリン太郎」についてレファレンスを求めてくるところから、第1話「図書館ではお静かに」は始まる。「なんだ、鴎外のことではないか」と「ふふふ」と笑ってしまった私はもう作者の掌にのせられている。さまざまな蘊蓄が嫌味なく語られる中で、こちらの期待を心地よく裏切ってくれる。さすが、レファレンス・ライブラリアン。

さらに、市議会文教常任委員会で図書館廃止論者の館長(市長のブレーン)に対して、主人公の和久山孝彦が説く図書館必要論は非常に説得力がある。これは図書館学徒必読の小説であろう。

図書館を廃止しようという首長が登場したり、『太陽の季節』の例の場面についての記述(剽窃ではないらしいが、例の場面は先行例があるのだ。知らなかった!)など、私は途中から痛烈な石原慎太郎批判と読んでしまったが、誤読ではないだろう。多分。それとも、現在、図書館の廃止を考える(存在意義を疑う)首長など累々といるのだろうか? 

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