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トマトは「月」か?

先日、ローレン・チャイルドの『ぜったいたべないからね』を小学3年生とわかちあったことは前回のブログで紹介したが、それ以来気になることがあり、とうとう原書(もちろんPB)を「ぽちっ」と購入してしまった。そして、いろいろ考えた。

日本で「赤いトマト」を何かにたとえるとしたら、おそらく「太陽」が上位に上がってくるのではないだろうか。トマトは「日の丸」の赤である。だから、先日読みきかせに入ったクラスでの男の子は「まんげつぶちゅっと」とトマトが結びつかなかったのかもしれない。そして、その子どもの疑問がきっかけになって、私も自分が無意識に抱えていた疑問が明らかにされたように感じた。トマトのエネルギーにみちた「赤」とトマトの収穫時である(最近では冬でも手に入るトマトではあるが)夏のぎらぎら燃えさかる太陽との連想は、私にとっては分かちがたい。

しかし、当然といえば当然なのだが、原書でも「まんげつぶちゅっと」は”moonsquirters”となっている。ちなみに”squirt”とは「ほとばしる、噴出する」という意味がある。だから、この”moonsquirters”から「月をつぶして中身をぶちゅっと出した」ことを連想させる「まんげつぶちゅっと」という日本語訳が生まれるのは誤りとはいえない。しかも、ローラが三日月に座っている絵もある。確かに自然界では「赤い月」も観察されるが、日本語の感覚でいえば、この月はある種のまがまがしさを連想させ、「トマト」と「月」は日本の文化では結びつきにくいのではないかと思う。

そういえば、かつて東京芸術劇場で「世界の子どもの絵画展」というようなものを見たことがある。コンサート会場が開くまでのごく短い時間だったが、その時、夫が思いついて「子どもたちが描く太陽の色」ばかりを観察した。太陽を「赤く描く」文化と「黄色に描く」文化があることを目の当たりに経験したことを思いだした。

「太陽を黄色で描く文化に属する」ローレン・チャイルドにとっては、トマトの「赤」からは「太陽」は連想されなかったということであろう。しかしこれはまぁ私の推測であるが、あながち間違ってもいないだろう。なるほど。となると、今度は「どう訳すか」ということになるのだけれど、前述したように、ローラが三日月に座って”And she said, "Yes , of course, moonsquirters are my favorite" ”というのだから、そこは変えるわけにはいかなかっただろう。翻訳者(木坂涼さん。敬愛するアーサー・ビナードさんのお連れあいだ)の苦労がしのばれる。

それよりも、原書を読んだために翻訳が気になる箇所がでてきた。それは、「くもぐちゃらん」という名づけについてである。原書では ”.....this is cloud fluff from the pointest peak of Mount Fuji.” となっている。ええっ! ここに富士山への言及があることに驚いた。画面は、北斎が描くようなすきっとした三角形の岩山(これは絶対富士山ではない)にローラが座っている。私だったら「これはね、ふじさんの『ふわふわ雲』だよ」としてみたいところだ。”fluff”という軽い空気感を含蓄する言葉と「ぐちゃらん」という水分を含んで粘度を持った重量感をイメージさせる言葉を結びつけたことには違和感を持つ。しかし、その源は「マッシュトポテト」であるだけに難しいところだ。「マッシュトポテト」だったら「ぐちゃらん」もありだ。ところで、このページの文字のレイアウトは、細身の山と類似形を持っている三角形を成しているが、日本語のレイアウトはあまりすきっとはしていない、というかできなかったのか。

「おにいちゃ、んー」ぼくはきたなっておもったね。/いもうとが「んー」って/ぼくのことのばしてよぶときは、なにかがあるんだ。

上の部分は、I Will Never NOT EVER Eat a Tomato にはない部分である。原文にない箇所を挿入するのには理由があるのだろう。おそらくこの「チャーリーとローラ」が登場するシリーズ絵本のどこかに、このような表現があるのかもしれないが、私には確認できていない。I Am NOR Sleepy and I WILL NOT Go to Bed の最後のあたりで「らしい場面」を見つけたが、どうだろうか。これは次の課題。

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