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ドナ・ジョー・ナポリ『わたしの美しい娘:ラプンツェル』

「ラプンツェル、ラプンツェル、おまえの髪をたらしておくれ」と魔女がいうと、塔の上から長い髪がおりてくるという昔話の一場面は、お話の細部は曖昧にしか覚えていなくても、とても印象深いものだと思う。凡庸な想像力しか持たない我々は、お話を楽しむだけで十分満足してしまうのだが、それに飽き足らない少数の才能ある人が、昔話をベースにして新しい物語を創造する。子どもの本の世界では、少し古いが、エリナー・ファージョンの『銀のシギ』や『ガラスの靴』(未訳)がある。最近では、アンジェラ・カーターもおもしろいものを書いている。

この『わたしの美しい娘:ラプンツェル』は、ドナ・ジョー・ナポリが「ラプンツェル」を下敷きに再創造した物語である。かつて、The Magic Circle(『逃れの森の魔女』として出版)が読めなかった私は、以来、ナポリを敬遠していたのであるが、久しぶりに手にしたこの作品には圧倒されてしまった。「ラプンツェル」をあますことなく使い、そして、彼女自身の新たな物語を作りだしたのだから。

訳者の金原瑞人は、あとがきで、石堂藍の『逃れの森の魔女』評をひいて、この作品ともつながりがあるとしているが、まさにこれほど的確な作品紹介はないかもしれない。

人が誰でも持つ虚栄心や子どもへの執着が、悪魔に直結しかねないという恐ろしさ。そしてそこからいかに救済されるかを、巧みな筋運びによって描き出した異色作である。(石堂藍。『ファンタジー・ブックガイド』、国書刊行会。)

YA作品とあるが、YAだけにしておくのはもったいない。最後は痛烈であるが、ほっとする結末。

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