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戸塚滝登の『子どもの脳と仮想世界』を読む

夫からまわってきた、戸塚滝登著『子どもの脳と仮想世界』(岩波書店)を読んだ。このところ「読書」関連で、脳科学や認知心理学の本を読むことが多かったが、この著作も刺激的でさまざまな点で啓発された。

著者である戸塚氏は、富山県の元小学校の教師で、70年代からコンピュータ教育を推進してきた、その分野ではパイオニア的存在の方である。しかし、いまは小学校教師をやめ、教育ソフトウエアの開発、研究、著作に従事しているそうだ(著者紹介より)。

彼は、コンピュータ教育は、子どもたちに「仮想世界」を提供するものであるという立場に立ち、それが子どもたちの「脳」や「心」にどのような影響を及ぼすかという点について、さまざまな事例を引用して、警告を発している。実際にコンピュータ教育に当たってきた経験者の「警告」であるため、非常に説得力を持って、現在の子どもたちの危機が語られている。読みながら、「うんうん」と納得し、「やっぱり」と共感し、私自身が、子どもの成長にあたって大切であると感じていたことが、この著作で、理論的に裏づけられたように思われた。

結論を一言でいってしまえば、子どもの育ちにとって一番大切なのは、心(脳のネットワークを完成させる)を作るために、五感を十分使っての豊かな直接体験が重要であるというものである。至極当然で、単純にも思われる結論であるが、この「わかりやすい教育」が、インターネット、ゲーム、携帯電話、テレビなどのメディアが送りだす「仮想世界」によって脅かされているのだ。

そして、私は、「そこに読書の果たす役割はあるのか?」という命題に取り組むのである。その答えは、「イエス」。物語体験は、それだけを見ると確かに「仮想体験」であるが、読書という行為をすることによって、私たちは、想像力や記憶力や推理力を使うことで脳を活性化させ、豊かな情動体験をすることができるからである。

「ゲーム感覚」の本質的な部分をさぐった、ある種のヴァーチャル拷問実験ともいえる「ミルグラムのアイヒマン実験」報告では、モラル判断を無効にするというメカニズムが非常にわかりやすい形で解明され、衝撃的な怖ろしさを感じた。

あー。ボランティア先の先生方に是非読んでもらいたい著作である。

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saelein

<読書という行為をすることによって、私たちは、想像力や記憶力や推理力を使うことで脳を活性化させ、豊かな情動体験をすることができるからである。

子どもたちを観察していると、
実体験をする時に「・・・そういえば、○○で出てきた△△のことだ・・・」「あ、・・・☆☆っていう話があったよね」という認識が頭の中をさささーっとめぐっているのを感じ取れます。
例えば、テラスで育てている苺を収穫した時など、熟しているのに一部はなぜか緑のまま。
末娘(小2)が笑いながら「『いちごばたけのおばあさん』、色を塗り忘れちゃったのかもね~」
「・・・」や「~」の余韻に言葉に表せないものが。。。。
情動ってこういうことなんでしょうか。
母親のできることはたくさんあると思います。
スーパーで売っているきれいに揃った苺だけしか見たこともなく、お皿に食べられる状態で置いてある苺しか触ったこともない子どもにはしたくないと思っています。

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