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ヒルクレストの娘たち 2

ようやく<ヒルクレストの娘たち>シリーズを読み終えた。最終巻の『グウェンの旅だち』では、娘たちはすでに「娘」時代を通りこし、中年にさしかかっている。そして、結末近くでは、第二次大戦前夜が背景となり、グウェンの人生がヒトラーの台頭とともに大きく展開してゆくことが予想される。ヒルクレストの館を離れることのなかったグウェンが、「蘭」をきっかけに、かつて愛したアントニーの面影をもつ甥、トニーとの関係のなかで、自分の道を確実に一歩踏みだすことになったのである(ちなみに『グウェンの旅だち』の原書タイトルは、Beyond the Orchid House)。

『丘の家のセーラ』と『フランセスの青春』がそれぞれを補いあっていたように、『フランセスの青春』と『海を渡るジュリア』とが、絵の才能をもつ姉妹たちの葛藤という点で響きあっていて、さらに『グウェンの旅だち』で、グウェンの視点で、姉妹たちが包みこむように語られ、弦楽四重奏のような作品だ。家族のなかのできごとや、社会的な状況という大きな枠組みは、変わらないものの、それぞれの娘たちの性格、才能、人生が立体的にうかびあがってくる、読みごたえたっぷりな作品。脇明子さんの翻訳もすぐれている。ただし、私は、翻訳から情景をイメジすることがとても苦手で、これはいつも通りだった。

いわゆる少女小説がカヴァーするのは、一般的に、主人公の少女の結婚前までの時代だった。少女が幸せな結婚をし、ハッピー・エンディングをむかえると、物語も終わるのが通例だ。それは、結婚すれば女性は、「家庭のなかの天使」たることを要求されるからで、もうそこには、よろこびも、冒険もないとみなされていたのかもしれない。『若草物語』シリーズや<アンブックス>は例外的に、「その後」が書かれているが、作者には続編を書くつもりはなく、オールコットにしろモンゴメリにしろ読者の強い要望にこたえての結果である。

かつて私は、『そばかす』のエンジェルや『リンバロストの少女』のエルノラの「その後」をどれほど渇望したかをとてもよく覚えている(ともにジーン・ポーター。エンジェルのその後は、『リンバロストの少女』にほんの少しでてくるが)。

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