わしこの読書日記

子どもの本や絵本について研究しているわしこの読書日記と身辺雑記。

Entries

ちいさなかがくのとも『おでこにピツッ』

三宮麻由子さんの『おでこにピツッ』がステキだ。風の向きが変り、男の子の「おでこにピツッ」と雨粒があたって降りはじめたにわか雨(夕立かな?)がやむまで、その間の雨の音を絵本にしたものである。雨がやんだあとにできた水たまりには雀が遊び、空には夕焼けが広がって、雨のあとの「におい」まで感じられる。この絵本は、2006年6月に「ちいさなかがくのとも」の一冊として出版されている。絵は斉藤俊行さん。

降りはじめは、「おでこにピツッ/じめんにツプッ/ふみいしにチピッ/やつでのはっぱにパツッ」だったのが、激しくなると「おでこにピツルピツル/じめんにチタツツチタツツ/ふみいしにキツンツツンキツンツツン/やつでのはっぱにパラツツパラツツパツパツパラツツ」と変わってゆく。私は、やつでの音にやられてしまった。すごい。そうそう、ほんとにそんな感じで雨って降るよねと、とても共感したのである。

オノマトペというのは、ある種の決まり文句だからこそ、たくさんの人に理解してもらうことができる。「ワンワン」「ニャーニャー」、雨だったら「しとしと」「ザーザー」である。でも、こういったオノマトペは、すぐ手垢にまみれ新鮮さを失ってしまう。しかし、凡人には、日本語の音韻をこえた「音」を、日本語の音韻に移し替えるなんてことは至難の業である(芸人がやっているのは声帯模写であろう。これもすごいと思うけどね)。

その点で、三宮さんの感覚には脱帽だ。言葉を遊びにしてしまわないで、さまざまな雨の音を誠実に捉えようという真摯な姿勢も感じる。また、絵を描いた斉藤さんも、彼女の言語表現をきちんと受けとめて、次のように書いている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
三宮さんの表現する音は、その表現自体は独創的でありながら、とても普遍的な本来の音の姿を捉えているのだと思います。ありふれた加工などは施されてはいません。僕にはそれがまるで、ひとつひとつ透明度も反射率もちがう、「音の原石」のように感じられます。(「折り込み付録」より)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

納得。まさにその通り!

男の子が雨傘の天井に手を当てて雨を感じている時の「プトゥプトゥプトゥプトゥ/プトゥン/プトゥプトゥ」という音の表現は、これはもう、「秀逸」という言葉でも表現しきれないほどステキだ。傘を通して伝わってくる雨の重ささえ感じるのである。

うーん。私は、この絵本をどう読もうか? じっくり時間をかけて、表現の方法を考えたい。

この二人での絵本には、最近出版された『かぜフーホッホ』(「ちいさなかがくのとも」。2007年11月号)もあるが、私は『おでこにピツッ』に山盛りの☆をさしあげたい。ハードカバーにして、たくさんの子どもたちに渡してあげたい絵本だ。

この絵本を紹介してくれたK子さんに感謝!!

  • [No Tag]

*Comment

 

お久しぶりです
今日はまさにチピッチピツな雨の日でした
私は雨上がりのコンクリートの匂いがすきです
あと冬の雨の日に窓際の空気がひんやりするのも結構好きです
音はなかなか言葉にしにくいものなのでしっくりくる表現に出会うとうれしくなってしまいますよね!
  • posted by rinco 
  • URL 
  • 2007.11/10 22:52分 
  • [編集]

Comment_form

管理者のみ表示。

*Trackback

トラックバックURL
http://washiko.blog5.fc2.com/tb.php/303-d90a094b

Menu

プロフィール

  • Author:わしこ
  • 無断転載ご遠慮ください。

最近の記事

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索