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『虫けら様』を読む

秋山亜由子の『虫けら様』(青林工藝舎)がすごい。これは、虫たちを主人公にした、とても不思議な漫画である。描かれている虫は、必ずしもリアリズムが追求されているわけではないのだが、表題の「虫けら様」連作は、虫の生態にはかなり忠実なようでいながら、科学読み物とは異なった様相で、虫たちの生活が展開され、読み手に迫ってくる。

科学的な読み物の記述があくまで事実に則しているのと比べると、「虫けら様」作品群は、虫たちの間で会話が交わされたり、独白があったり、虫たちの気持ちにより添った記述がされている点が、読み手の感情移入を許し、こちらの心に深く響くのだろうか。また、虫や小動物に服を着せたことも面白い(「くものはなし」「鼠の草子」など)。「雌」とはとても表現できない「フユシャク」の少女には、ジンと来るものがある。

この人は、『くものすおやぶんとりものちょう』(秋山あゆ子/福音館書店)という絵本も出していて、これもなかなかに面白い。この絵本では、登場する虫たちがすべて擬人化され、服(着物)を着ている。いままで、虫に服を着せた人はいたのだろうかと考えていて、1807年に出版された『ちょうちょうの舞踏会とバッタの宴会』を思いだした。この作品は昆虫を擬人化した初期のものであろう。

『イギリス絵本の歴史』(三宅興子/岩崎美術社)に収録されている、『ちょうちょうの舞踏会とバッタの宴会』の図版では、小さな人間の上に蝶々が止まっていたり、カタツムリの殻が乗っかっている絵や昆虫だけの絵を確かめることができる(ウイリアム・ロスコウ詩/ウイリアム・マルディ絵)。また、『虫太平記絵巻』に描かれたの虫も同様だそうだ(『虫けら様』巻末対談より)。

虫を擬人化した秋山あゆ子は虫に、野菜を擬人化した飯野和好は野菜に<魂>を見つけたのだろうか? それにしても、秋山あゆ子はただ者ではない。

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