わしこの読書日記

子どもの本や絵本について研究しているわしこの読書日記と身辺雑記。

佐藤多佳子『一瞬の風になれ』(全3巻)を読む

佐藤多佳子はわりと好きな作家で、この作品も新刊平積み状態のときチェック済みだったが、「陸上競技」が絡んでいたので、「運動音痴」な私は敬遠していた。で、これも夫からまわってきた。結果は、一気読み。しかし、途中、競技の説明やタイムについての記述などのところは斜め読みにしてすっ飛ばしたので、きちんと評価する資格はないと思う。

新二と連の二人の少年が、陸上競技(短距離)を通じて切磋琢磨し成長してゆく話、と書いてしまうと、この作品の面白さがまったく伝えられないことに、忸怩たるものがある。つまり、作品に描かれている「陸上競技」や「部活」や「人間関係」にどっぷりつからないと、作品が楽しめないということである。その意味で、陸上競技の部分を「すっ飛ばした」私は、残念ながら半分も楽しめていないということかもしれない。

でも、新二も連も好きだし、新二が心をよせる「谷口」もいい。運動部の監督らしからぬ三輪先生も好感が持てる。佐藤多佳子は、それぞれの人間のかき分けがうまいのである。高校の部活動の上質な上澄みをすくい取った作品といえるかも知れないが、「うそ」臭さはない。

青春まっただ中の高校生も読むだろうが、「高校時代」を懐かしむ世代により受け容れられる作品のような気がする。その意味で、児童文学ではなさそうだし、あさのあつこの二人の少年を描いた『バッテリー』とも違うような気がする。

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