わしこの読書日記

子どもの本や絵本について研究しているわしこの読書日記と身辺雑記。

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金原瑞人「広くファンタジー」(朝カル公開講座)

朝カル主催の金原瑞人さんの公開講座「広くファンタジー」に出かける。まず、彼は、近代の小説を「時間と空間をリアルに描くもの」であるとして、その文体やテーマ(対象とするもの)を説明してから、ファンタジーについて話を進めた。つまり、ここで近代小説を定義しておいて、ファンタジーの文体やテーマとの違いを意識させたかったのだろう。さらに、『指輪物語』前後では「ファンタジー」という言葉が指し示す世界が大きく変わってきていることも指摘する。「指輪以前」はファンタジーというと、ナンセンスものも含めた幻想小説全般を指し、「指輪以後」は「剣と魔法の物語」をさす言葉になっているということだ。

そして、ファンタジーの系譜をたどりながら、その源流は「神話」に求められると、ギリシア神話に言及していった。ヘシオドスの『神統記』に書かれているウラノスとクロノス、クロノスとゼウスのエピソードを紹介し、「オイデプス」の話から「アーサー王」へ、さらに、映画「スターウォーズ」、ついには映画「ゲド戦記」にいたった。この長い物語に底流するものは「父親殺し」である、といわれたときには、「やられた」と感じてしまった。そうか、アニメ版「ゲド戦記」は、そっちにつながっているのね、と納得してしまったのである。しかし、原作でも、最初は大賢人ゲドに畏怖しながらついていったアレンが、最後には、ゲドを背負って帰ってくるという象徴的な場面もある。

金原さんの意図は、さらに「シュールリアズム」の「規範を取っぱらい、夢に近づいた作品」についてまで進みたかったようだが、残念ながら、時間がきてしまった。

ところで、彼は「北欧神話」と「ゲルマン神話」をまったく別物であるというようなおっしゃり方をしていて、そこがちょっと気になった。

「時間と空間を意識していない時代」の作品の例として、シェークスピアの『マクベス』をあげてくださったが、確かに、あの一連の出来事はいったい何日に及んでいたのだろうか。

こうしてまとめてみると、ご本人もおっしゃっていたように「まとまりのない話」にも見えるが、それぞれのところで少しずつ刺激をいただいた講座であった。落語についても少しお話しされた。ナンセンスな遊びの要素にあふれた「どくどく」はちょっと気になった。
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