わしこの読書日記

子どもの本や絵本について研究しているわしこの読書日記と身辺雑記。

『ロザムンドおばさんの贈り物』を読む

『ロザムンドおばさんの贈り物』(ロザムンド・ピルチャー著/晶文社)を読んだ。2冊の短編集から訳者(中村妙子)が7編を選んで訳した短編集。どれもこれも読後感がとてもよい。オー・ヘンリーの作品を読んだあとみたいな満足感と幸福感をもった。ちょっと気の利いた結末は、時におしゃれで、ハッピー・エンドとよぶほど大げさなものではないが、独特の世界を穏やかに主張し、じわじわと心にしみいる。ささやかな幸福に驚く力を目覚めさせてくれた。

最近の子どもの本は、ひりひりと痛むような子どもや子どもを取りまく世界が書かれ、なんだかつらい気持ちを抱かされていたのだが、ピルチャーの作品は、もちろん子どもの文学ではないけれど、物語のよろこびを素直に伝えてくれた。こんな作品がもっと読まれてもいいはず、と感じた。原書は、1985年、1991年に出版されたもので、翻訳も1993年である。いまこのような物語世界を書く人はいないのだろうか。それとも、書けないのだろうか。

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