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『When My Name Was Keoko』を読む

ヤヤーさんのブログ「おかめはちもく。」で紹介されていた、『木槿の咲く庭:スンヒィとテヨルの物語』(リンダ・スー・パーク/新潮社)の原書When My Name Was Keokoを読んだ。

1940年、日本統治下にある朝鮮では、「創氏改名」が推し進められようとしていた。すでに、公の場では朝鮮語を使うことは許されず、学校では日本語の読み書きが教えられていた。この作品は、10歳の少女スンヒィ(キヨコ)と13歳の少年テヨル(ノブオ)の目でつづられる、日本敗戦までの一家の物語である。「創氏改名」をきっかけに、ますます帝国主義的な様相を深めてゆく朝鮮の庶民の暮らしが、二人の目で語られる。自分たちの名前を奪われること、言葉を奪われることが彼らにとってどのような意味を持つのか、寡黙な父(アボジ)は、あまり多くを語らないが、抗日運動に身を投じている「叔父さん」は、ことあるごとに、自分たち民族の誇りをつたえる。

フィクションではあるが、作者、リンダ・スー・パークの両親のエピソードや資料をつかって丁寧に書かれた歴史小説でもある。マッカーサー名で出され、飛行機からばらまかれたビラ、ラジオや金属の供出、「慰安婦」になったと推測される志願女子学生などのエピソード。

このような作品が、英語で出版されることには大きな意味があるだろう。朝鮮語(韓国語)で出版されたとしても、おそらく日本語に訳されていたかどうか。これは、是非、たくさんの人たちに読んでもらいたい作品だ。子どもだけでなく、おとなにも。8月15日に靖国参拝を強行突破して「いつ行っても批判されるから、15日に行ってもいいのだ」と、うそぶいているどこかのお馬鹿さんにも読んでもらいたい。鋭い感受性でこのような作品を心から受けとめることができたとしたら、あんな失礼な発言などできないだろうに、と思う。

しかし、残念なことが一つある。ヤヤーさんによると、訳者(および出版社)は、この作品がリンダー・スー・パークの日本初訳であると誤解していたらしい。先日、ここでも触れた『モギ:ちいさな焼きもの師』(あすなろ書房)が、初訳作品である。この事も見識がないと思うが、じつは、日本語版では「作者のことば」が独立して収録されておらず、「訳者あとがき」にきれぎれに紹介されていることである。このことは、日本語訳をユーストで購入して、気づいた。これは、あまりにも作者に対して失礼ではないだろうか。「作者の言葉」も作品の一部である。とくに、このような歴史的フィクションにおいては。物語を読み終えて、その高揚した気持ちのまま"Author's Note"を読んだ私は、作品が、さらに広がりを持つのを感じた。この「感じ」は、まだ言語化することができないけれど、とても大切なものだったと思う。

また、アメリカでは子どもの本として出版されているが、日本ではヤング・アダルト向けというか一般書として出版されている。読者対象が曖昧である。語り手は10歳と13歳で、内容も十分子どもに理解できるものだからだ。どうしてなんだろう。漢字の使い方、ふりがななどもう少し子どもの読者を意識して本を作ってほしかった。

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TBいたしました。

おそらく、訳者はアメリカの某有名書店で平積みにされているのを見かけて有頂天になってしまったのでしょう。まるで鬼の首でも獲ったような書き方でしたから。
しかしだからと言って許されることではなく、出版社もそんなに力を入れて売り出したくはないのか、いまどき作者のことばが全て翻訳掲載されないなどというのは言論統制されているとしか思えません。
もともとこの本はヤングアダルトとして出版されています。日本で一般書として出版されたのはやはり思想的に問題があるということなのでしょうか。
新潮社にそこまでつっこんで質問したわけではありませんが、このような本一冊を恐れるなんて、とも思います。
子どもに読んでほしくないのは、その辺りにも理由があるのかなとも思います。
わたしはたまたま気がついただけなのですが、もっとこのような出版があるのでしょう。
日本はまだ未熟です。「言論の自由」と言えば聞こえはよいですが、余計な圧力を恐れて事実をねじ曲げてしまうこともあるのだということを認識しました。

とはいえ、この本の魅力はそんなことでは損なわれることはありませんので、多くのひとに読んでほしいと思っています。
これをよんだらシンシア・カドハタの『草花とよばれた少女』を。
こちらは日系二世のお話。創氏改名のように日本名を捨て、アメリカ風の名前をつけろといわれた第二次大戦中の日本人たちの物語です。

ヤヤーさん:コメントありがとうございます。Author's Noteは、おそらく全部訳されていると思います。すみません「ばかばかしくて」点検する気にもなりませんので、、、。ただし、「訳者あとがき」のなかに「きれぎれ」に埋め込まれているのが問題なのです。また、この作品は、ALA Notable Children's BookとALA Best Book for Young Adultに選定されています。英語も易しく、ヤング・アダルトというより、小学校6年生ぐらいであれば、十分読めるものと判断されます。まぁ、その辺の区切りはあまり問題ないでしょう。日本でも、子どもの本として出版してほしかったですね。まさか、この程度のことで、「自主規制」が働いたとも思えませんが、、。ところで、シンシア・カドハタはKira Kiraの人ですね。

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