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『モギ:ちいさな焼きもの師』

2002年度のニューベリー賞受賞作品、リンダ・スー・パークの『モギ:小さな焼きもの師』(あすなろ書房)を読んだ。

12世紀後半、韓国西海岸の焼き物で名高い小さな村の橋の下にトゥルミじいさんと暮らすモギ少年の話だ。村の家々のゴミ捨て場をあさってまで食べ物を調達しなくてはならないほど貧乏な暮らしをしている二人だが、「盗みと物乞いはしちゃならぬ」(p.8)と誇り高く暮らしている。モギは村の焼き物師ミンの仕事が気になってしかたがない。食べ物探しの途中に焼き物師の仕事場に立ち寄って、ミンがロクロをまわすのを物陰からじっと観察するのがつねだった。

今日もロクロ回しがみられると、こっそり仕事場に立ち寄ったが誰もいない。これさいわいと、モギは思わず仕事場に入っていき、製作中の作品に手を触れてしまう。と、そこへミンが戻ってきて、誰何される。泥棒の汚名は晴らせたが、焼き物をだめにしてしまったお詫びに、ミンの仕事を、9日間手伝って償うことになった。

9日目の仕事が終わると、モギは意を決して、ミンに仕事を手伝わせて欲しいと頼み込む。それから、モギの焼き物師の下働きとして、いつかロクロをまわすことができる日の到来を願いながらの生活がはじまった。

このあと物語は、子どもの文学の定番的な展開(挫折、努力、課題の提示、課題の克服)を見せる。目新しいところはないものの、一人の少年が、何かに魅せられ、さまざまな困難を克服してゆく物語は、安心して楽しめる。

「漉した白い泥を、いつものように、ごく少量、親指と人さし指でつまみ、すりつぶしてみた、そのとき。指先になにかを感じた。同時に、なぜか、このまえ山で鹿を見たときのことを思い出した。(中略)モギは遠くの木立をぼやーっととながめていた。と、突然、鹿が見えた。鹿はしばらくまえからそこにいたにちがいない。むろん、モギにも見えていたはずだが、そのとき急に目の焦点があったのだ。今、それと同じことが起こった、目ではなく。指先に。」(p.99)

いままで気づかなかったことを発見する瞬間の描写が秀逸である。

モギの心のよりどころで、高潔さの源であるトゥルミじいさん、頑固に心を閉ざし口数の少ないミンとミンを支える妻などモギの周りのおとなもよく描けていると思う。日本語も簡潔でわかりやすい。

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この本もよいでしょう。

子どもの本の中には魅力的な大人がたくさんいて、いつもかくありたいと思ってしまうわけです。
もちろんそうでない大人も登場しますが。

人生は不条理で不公平であることを、そう言葉にできずに毎日を過ごしている子ども時代に、たくさんの面白い本と出会ってほしいと思います。
ほんとうは、大人がもっと読むべきなんです。
自分もこうでありたいと思える大人と、ひとりくらいには必ず出会えますから。

ヤヤーさん:コメントありがとうございます。『モギ』は、安心して読むことのできる、いわば子どもの文学の王道的な作品ですね。最近ではめずらしい気がします。

『モギ』

わし子の読書日記、毎回楽しみに見ています。
『モギ』、、、いい本ですね。読後感がさわやかです。
『なまくら』(吉橋通夫/著 講談社)も良かったです。 江戸時代末期.京都。懸命に生きようとする貧しい少年たちを、周りの大人がなんとか助けようとする。まっとうな大人の存在があってこそ、子どもは成長し生きる力をつけていくのだって、思えました。

マチルダさん:コメントありがとうございます。『なまくら』も読んでみたいです。この人の名前は覚えがあります。『やんちゃ』という同人誌にお書きになっていた人です。

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