スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

柏葉幸子『つづきの図書館』を読む

「離婚歴あり無職」の女性が、伯母の介護をきっかけに自分の故郷に戻ることに決め、小さな図書館に臨時採用がきまったところから物語は始まる。子どもの文学の主人公は★★であるべきだと固定観念を持っていなかったとしても、この作品の主人公(山神桃)はかなり異色である。

偏屈な館長のためか、山神桃さんのまえにすでに3人の司書がやめたらしい四方山市立図書館下山別館は、遠くから見ると、「ツタのからんだサイコロ」みたいなこぢんまりした図書館である。どんなに小さくても図書館は、博物館と同様、時間と空間が凝縮された場所だ。ファンタジーの場としてこれほどふさわしい場所はないだろう。というわけで、この新任の臨時採用司書、山神桃さんにも突然不思議な出来事がおそいかかる。

本を読む側としては、その物語の内容が気にかかるのは当然のことである。「次にいったい何がおこるのか」「結末はどうなるのか」という思いにかられて、私たちは物語に熱中する。ところが、この作品は、本の中の登場人物が読んでくれた人の「つづき」が気になって、こちらの世界に現れでてしまうのである。

本の整理に図書館の二階に上がっていった桃さんは、突然声をかけられる。「つづきがしりたくてたまらん」と。なんと声の主は絵本の中から出てきた「はだかの王様」で、「青田早苗ちゃん」の消息を知りたいという。そして、桃さんは、青田早苗ちゃん探しにのりだす。早苗ちゃんの捜索が終わり、やれやれと一息つく間もなく、つぎつぎと、絵本の中の登場人物が捜索依頼をしてくる。

人捜しの中で、なぜ、その人物を探さなくてはならないのかという必然性が徐々に明らかになり、最終的には、桃さん自身の抱えていた問題も明らかになるという運びは、常套的であるともいえるかもしれないが、ひねりも効いていて、よくできている。また、絵本から出てきた登場者が気にかける子どもたちの抱えている問題が「いま」を映しだしている点では、たのしく読める作品ではありつつ、人間関係の複雑さや関係の不可避性に思い至らせ、考えさせる。だからこそ、おもしろいのかもしれない。

「はだかの王様」をはじめとする個性的な人物造型や登場者と桃さんとのやりとりなどゆきとどいた描写の細部が楽しい。
スポンサーサイト

1664人待ち!

ブックモービルが敷地内に来てくれるようになって、ほぼ1年半経った。いろいろあって毎回利用できる訳ではないが、急がない本や仕事以外で読みたい本などは、ブックモービル「はまかぜ号」に頼っている。車に乗っている本は3000冊程度であるが、リクエストで本を取り寄せてもらえるのでなかなか重宝している。本代が減ったという明らかな数字は出ていないし(そう願いたい!)、ことによったら駄本(ひまつぶし)のリクエスト率があがり、結果的に時間を無駄づかいしているだけかもしれないが…。いずれにせよ、ありがたい。

というわけで、宮部みゆきの新刊『章暮写眞館』をリクエスト中である。なんと、1664人待ちである。この作品は、中央図書館の73冊の複本所蔵、分館17館の20冊所蔵をあわせて93冊がいまやフル回転しているということになる。でも、読めるのは何年先だろうか? 順番が回ってくる前に文庫になってしまったら悲しい。そしたら、文庫に手をのばしてしまうではないか。 

にわかに横浜市立図書館の状況に興味がでてきたので、少し調べてみた。まず、リクエスト率が一番高い本は、村上春樹『1Q84』(book1)で3097人待ち状態である。また、この本は、中央図書館と分館をあわせると100冊所蔵しているということだ。みんなそんなに村上が好きなのか、と少々驚きである。しかしこれはおそらく、メディアの華々しい広告戦略が功を奏した結果なのかもしれない。「そろそろ格安で『ブックオフ』に山積みされるのでは」というのは知人の弁である。

さて、横浜市の人口は368万人である。市立図書館の予算は、今年度14億6533万円で、そのうち「図書館資料の収集・整理」「図書館資料を管理するための書誌データの作成」「利用者の調査研究支援等」に使われる「調査資料事業費」は2億4200万円である(昨年は2億6500万円)。この2億円あまりのお金がすべて書籍・資料代に使われる訳ではないだろうが、単純計算すると、横浜市民一人あたり、約66円ということになる。計算間違いではないかと思ったが(ゼロが沢山つく大きな数字は大の苦手)、やはり、間違いないようだった。66円って、この数字が安いのか高いのか、そちらの専門ではない私にいは解らないが、「一人66円でも、塵も積もれば山なんだな」という思いと、「市民一人あたりの図書費がたった66円だなんて、バカにしてるんじゃないの」という思いが交錯しあっている。

中学校でお話会

中学校の図書主任(司書教諭)の先生から、子どもたちにお話しを聞かせて欲しいと依頼され、昨日、Kさんと出かけてきた。この地域では、小学校の図書館も開かずの図書館であるが、中学校も変わりはなく(図書館に入ると独特のかび臭さを感じる。授業で図書館を使うこともあるが、貸出は昼休みのみ。雨の日の放課後は、運動部の練習場にもなるらしい)。先生曰く「子どもたちは本を読まないので、何とかしたい」そうだ。

今年は「国民読書年」で、教育委員会から何か「イベント」をするように通達があったらしい。そこで、10月にある「文化発表会」で、一般の子どもたちに「お話会」を開催したいとの依頼を受けたのである。昨日は、これに先立って、図書委員の子どもたち対象の「お話会」を行った。図書委員さんが20数名と6名の生徒会役員の子どもたちが聞いてくれた。

中学生ともなると、感情を出したり、こちらの問いかけにも張り切って(よろこんで)答えてくれることは、かなり難しいと思われるが、彼らの表情をうかがうと、真剣に聴きいってくれたことが解った。少し時間をオーバーしたが、精一杯やらせていただいた。

<中学生のお話会>
『やさいのおなか』
『ヨセフのだいじなコート』
お話「木のまたアンティ」
お話「ひよこのかずはかぞえるな」

絵本も物語も原文にあたって、違和感を感じるところは、語りやすいように直した。『ヨセフのだいじなコート』は最後の部分が、すとんと心に落ちなかったので、原文を参考に直した。また、「木のまたアンティ」は、『かぎのない箱』所収の「アンチの運命」を軸に、「木のまたアンティ」(『子どもに語る北欧の昔話』)とTales from a Finnish Tupaを参考に、語るためにテキストを整え、若干短くした。語り巧者であればスパッと短くしてしまうであろうところも、うるさくない描写の部分はお話しの雰囲気を保持するために意識的に残した。これは、語り手も聴き手も初心者だからだ。

『かぎのない箱』は楽しいお話が沢山入っているが、「アンチの運命」は、なかでも私が気に入っている作品である。しかし、予定調和のきれいさが、中学生にはどうだったのかというのが反省点である。

「木のまたアンティ」を語るために『カレワラ』をはじめとする、北欧関連の書物を何冊か手にしたが、岩波少年文庫版の『カレワラ物語:フィンランドの神々』の日本語がひどかった(私が子どもだったら読み通せなかっただろう。しかし、アマゾンのレビューでは、褒め言葉しかなかったのが解せない。レビュアーは相当頭がいいに違いない)。というわけで、「カレワラ」に関しては、「詩」にはなっていないが、キルスティ・マネキンが子どものために再話した『カレワラ物語:フィンランドの国民叙事詩』(荒巻和子訳/春風社)をおすすめする。少年文庫版は、岩波文庫版の完訳者が手がけているのであるが、専門家であるからといって、子どものためにきちんとした日本語が書けるかどうかという点については、また別の問題であるということがよく解った。

英語に比べて、北欧語人口が少ないのだろう、この『カレワラ』日本語訳をはじめとする北欧文学翻訳の日本語訳がいただけない。フィンランドではないが、青土社の『北欧神話物語』の文章はとてもひどく(原文は英語なのだが)、このような翻訳を出す編集者にも強い怒りを感じている。しかし、英語の翻訳とてすべてがすぐれているとはいえないだろうが(詩人のOH訳の絵本はひどい)、もし、英語翻訳の日本語が『北欧神話物語』や少年文庫版『カレワラ物語』レベルであったならば、多くの人からクレームがつくのではないかと思う。まあ、それだけ多くの人の目に触れ、批評されるということであるが。

勉強会のあとには

ひきこもりの私にとっては、自宅で行う読書会・勉強会がとても大事な情報交換の場となっている。いちばん長く続いているのが、「キプリング読書会」で、現在までにKimを読了し、ただいま進行中のPuckもほぼ3分の2をを終えたところにさしかかっている。月1回であるが、もう4年以上になるかもしれない。メンバーは同僚の英文学者で、勉強会のあとは、私の料理で乾杯となる。

月2回のペースで行っているのが、「サトクリフ読書会」で、これも1年に1冊のペースで読み進め、Mark of the Horse LordThe Sheild Ringを終了し、いま読んでいるのは、The Lantern Bearersで、これもおそらく今年中に読み終えることができるだろう。平日の午前中からランチをはさんで、終了は4時を過ぎてしまうが、英文講読だけでなく、本や漫画などに関する様々な情報が飛びかい、おしゃべりに花が咲き、とても充実した一日となる。メンバーは私を入れて3人。昼ご飯とおやつをメンバーが用意し(ときに、お手製のサンドイッチや巻き寿司が登場することもある)、そして、野菜スープや具だくさん味噌汁を私が用意する(本日の夕ご飯の一品がでてくることもある)。作品読了の折には、持ちよりで盛大な打ち上げパーティとなる。料理上手なYさんの逸品が楽しみ。

現役の図書館員や学校司書を集めて行っている「絵本研究会」は2、3ヶ月に一度の割合で、次回で3回目となる。メンバーは、5人前後で(5人が限界か)、それぞれ、一品何かを持ちよることになっており、私が用意するのは、ビール・ワインなどの酒類、皿、グラスの類である。

さて、昨日は、月に一度の「キプリング読書会」で、アフターのメニュウは次の通りであった。

白山産だだ茶豆
冷や奴山芋オクラソースのせ
大根とあぶらげの白煮
豚肉と夏野菜のキムチ炒め
ビール(プレミアムモルツ)、キンキンに冷やした白ワイン(コノスル)
紅茶

以上である。同僚のH女史には、最後に玄米いりご飯に山芋オクラソースをかけて閉めていただいた。私と奪いあうようにだだ茶豆をたべた夫は、ご飯はパス。もちろん私も米粒はいただかなかった。ところで、「山芋オクラソース」はテレビ番組(「はなまるマーケット」)で仕入れたレシピであるが、なかなかの優れもので、いろいろ応用が利きそう。先日は、このソースを少しゆるめて、そばつゆとして使った。

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

月別アーカイブ

最近のコメント

プロフィール

わしこ

  • Author:わしこ
  • 無断転載ご遠慮ください。
FC2カウンター
最近の記事
カテゴリー
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。