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最近の読書(昔話)

E=ラーニング大学の授業で「昔話」に関するレポート課題を出した。昔話分析、類話比較、昔話解釈などさまざまなアプローチがあるが、受講生は四苦八苦のようで、「再提出」に嫌気がさして「だんまり」を決めこんだままの学生もいる。出してくれなきゃ単位出せないんですけど…。

昔話に関しては、小澤俊夫先生の「昔話大学」「昔話大学再話コース」で学んだことが「財産」(授業のネタ)となり、さらに継続的に自分でも文献を読んできたつもりである。最近、授業で『古事記』について話したこともあって、三浦佑之先生の著作に集中的に触れ、たくさんの刺激をいただいた。なかでも、『昔話にみる悪と欲望:継子・少年英雄・隣のじい』(新曜社)は、わくわくしながら読んだ。とくに、英雄譚を扱った章は秀逸で、神話の英雄が昔話の英雄に変容(矮小化)してゆくという考察は説得力があった。

また、「笠地蔵」や「こぶとり」についても、共同体の秩序や意識という視点を照射することで、昔話の新しい側面が見えてくるのは刺激的であった。神話を専門にされている三浦先生ならではの視点であるし、『古事記』そのものへの関心もさらに広がった。

研究や講義が先人の知の蓄積があればこそ可能であるということが、昔話関連の本を読むことで再確認できた(つまり、講義の種本がわかるってことです)。日本の昔話関連書籍の一部を記しておく。

●稲田浩二編著『昔話の年輪80選』筑摩書房
●武田正『昔話の発見:日本昔話入門』岩田書院
●三浦佑之『昔話にみる悪と欲望:継子・少年英雄・隣のじい』新曜社
●吉沢和夫『民話の心と現代』白水社


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「イチロー」と「タロー」

最近、政治のことにはなるべく目を向けないようにしている。とくに、小泉政権以降、理不尽なこと(イラクへの自衛隊派遣、郵政民営化におけるわがまま解散)が多すぎるからだ(自民党をぶっ壊すと言った純「イチロー」にちょっとでも期待した私は大馬鹿ものである)。純「イチロー」は、将来「まれに見る愚相」と評価されるであろうと思っていたが、それに輪をかけた総理がでてきた。「国民投票法」の提出、成立に大きく「貢献」した、晋「タロー」である。昨日だったか平沢勝栄が、「『国民投票法』が成立したからといって、憲法を変えるわけではない」と、TVで発言していたが、「9条」を変えたいから法律を整えたのであることは誰の目にも明らかで、こんなレトリックで視聴者を納得させられるなどと思っていたとしたら、平沢も度し難い政治家である。我々もなめられたものだ。しかも、その発言につっこめないTVキャスターなど存在意義がないではないか。

小選挙区制においては、少数派である社民党や共産党などはすでに役立たずだ。自らの存在意義や正当性のみをヒステリックに語っているだけでは、日本はますます奴らの思うつぼである。ぐずぐず言っていて、根本的なところで合意ができなければ、やつらももう消滅するしかないだろう。

「類は友を呼ぶ」。とんでもないやつはまだいた。もうひとりの慎「タロー」である。圧倒的な支持を得て再選されたが(彼を再選させた都民の見識も疑うが)、この「タロー」が都知事になってからというもの、教育現場の危機的状況にはますます拍車がかかっていると聞く。その「タロー」が図書館について許し難い発言をしていたことが、先日目にした『ミネルヴァ通信4 Apr. 2007』によって知った。『図書館に訊け』の井上真琴さんが、この冊子で「これからの図書館」という小さな連載をはじめたのだが、その中で慎「タロー」の発言が紹介されている。

「今の時代に人間を配置しなくたって、オートマティックに本が借りられればいいんじゃない」
「図書館作業というものを人を雇ってするような時代じゃない」(2006年10月20日定例記者会見での発言)

以下、井上さんは次のように続けている。

…まるで本の管理と貸出だけが図書館の機能であるかのようで、図書館のレファレンス機能に対する認識不足を露呈している。(中略)また石原氏が作家という文化人であることが、かえって図書館という存在に翳りを落とす。

作家としての顔をもっているにも関わらず、図書館のレファレンス機能を知らないとは、いったいどんな作品を執筆していたのだろうか。最近、映画化され話題になっている「特攻の母」を描いた作品では、資料はどうしたのだろうか、といらないことまで考えてしまう。

「恥ずかしい国」日本である。



続『ピーターラビットのおはなし』の翻訳

『読売新聞』の件の記事が、ネット上では「マグレガー」に訂正されていることを鈴木宏枝さんに教えていただいた。ありがとうございます。

できれば、『日本農業雑誌』に連載された「悪戯な小兎」の全文を読みたいと思うので、何とか方法を考えている。なんとかならないかしら。

ところで、『日本農業雑誌』を発行していたのは、津田梅子の父上である津田仙であることを、教えていただいた。昨日、リアル大学で「『朝×新聞』の記者って…」と話題にしていたら、『日本農業雑誌』に反応した、日本経済史の先生が教えてくださったのである。ふーん。こちらも、ありがとうございます。

『ピーターラビットのおはなし』の翻訳

『ピーターラビットのおはなし』の日本語初訳の年が修正された。今までは、大正7年に出版されたもの(雑誌『子供之友』、1918年)が本邦初訳であるとされていたのだが、さらに早く、明治39(1906)年11月に、『日本農業雑誌』に「お伽小説 悪戯な小兎」(6ページ分)として掲載されていたことが、河野芳英氏らの調査の結果、解ったそうである(『読売新聞』5月9日夕刊に掲載された記事から)。日本語訳は、なんと原書出版の4年後ということになり、英語版『ピーターラビットのおはなし』の翻訳はオランダ語が一番早いとされていたのであるが、この調査により、「お伽小説 悪戯な小兎」が初訳であることがわかった。

記事には、『日本農業雑誌』「お伽小説 悪戯な小兎」の写真が掲載されていて、よく見ると興味深い。まず、ポターの名前や翻訳であることがいっさい書かれていない。「松川二郎」と作者名があるだけだ。また、「ピーター」も「ペター」と表記されているし、柵をくぐり抜けている絵は、たちの悪い模写のようで、ピーターは、ウサギではなく「キツネ」に見える。

ところで、鈴木宏枝さんのブログでもこの件について触れているのを見つけた。彼女のブログでは、5月12日に『朝日新聞』が、後追いで掲載した記事について言及している。彼女は、『朝日新聞』の記事を書いた新聞記者が、「杢平爺さん」と訳した「McGregor」さんの表記を間違えていること(「マクレガー」)に気づき、件の記者が日本語訳にあたらずに記事を書いたであろうことを指摘している(耳で聞くと微妙ではあるが、日本語表記は「マグレガー」である)。

ところが、なんということであろうか! 『読売新聞』でも「マクレガー」になっているのである。こんな恥ずかしい間違いをしたのは誰? 朝日の記者は、読売の記事をそのままちゃっかりお借りしたわけ?

ずっと昔、マーシャ・ブラウンさんのおともをして、山口県に講演に行ったことがあるが(通訳をしました)、そのとき出会った、あまりにいい加減で不勉強だった新聞記者のことを思いだした。「取材に来るなら、少しぐらいは取材対象のことを勉強して来いよ!」といいたくなるほど、失礼な質問をマーシャさんにくりかえしていた。結局、記事は、オリジナリティに欠けるあたりさわりのないつまらないものになっていた(怒)。

「ちくりんぼう」を語る

一年生のクラス(大学生です)で「ちくりんぼう」を語った(読んだ)。笠原政雄さんの『雪の夜に語りつぐ』(福音館書店)に収録されているものだ。

この作品は「三枚のお札」の類話で、その起源は、『古事記』の「イザナギの黄泉の国訪問」のエピソードにまで遡ることができる。笠原さんの「ちくりんぼう」のおもしろさは、なんといっても、「グレート・マザー」あるいは、「母なる自然」を連想させる山姥にある。頭の中にはムカデやトカゲがちょろちょろしていたり、小僧のおしっこを「つうつう」飲んでしまったりする山姥である。笠原さんと同じ新潟県出身の池田チセさんが語る「三枚のお札」の山姥はそこまでしないし、こちらのほうが人口に膾炙していると思う。しかし、私はこの笠原さんの語る山姥が好きだ。昔から、山姥が出てくる話が好きだったこともあるが、笠原さんのこのお話を知った時から、さらに「山姥」について考えるようになった。

ところが、この話を「きもい」「変態」といって、片づけてしまう学生がいる。「きもい」といってそこで思考を停止してしまったら、何の発見もないのだが、これは、昔話の言葉への過剰な反応であるとも思われる。さいわい、先日の一年生は「おもしろい」「イメジがはっきり頭の中にうかんだ」と楽しんでくれた。ただし残念なことに、彼らにはほとんど昔話体験がないことが判明した。とくに、語ってもらった経験のある学生は皆無であった。

最近、さまざまなところで「語り」の場がひらかれていると聞くが、実際には、まだまだなのだろう。今からでも遅くないと思い、今年の一年生には「物語」にたくさん触れることができる授業をめざしている。

●池田チセさんの語りは、『おばばの昔ばなし』(水沢謙一著/野島出版)に収録されている。

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